あの帝国ホテルで100年前に演奏されたピアノって?!

ベヒシュタイン

※図版:大橋幡岩氏の資料より 


こんにちは。
ベヒシュタインと日本との関りについて面白い記事を見つけたのでお知らせいたします。

上記写真は約100年前に「帝国ホテル演芸場」で行われたコンサートの当時のポスターです。
よく見てみると大きく「ベヒシュタインピアノ使用」と、ピアノを強調するように記載されていますね。

この時代はまだ日本でクラシック音楽が盛んではなかった頃ですし、西洋音楽の教育や演奏会が少しずつ増え始めたくらいで、海外から優秀な教育者、演奏家が多く来日されていたようです。

しかしなぜ、ベヒシュタインのピアノが帝国ホテルのコンサートで使用されたのでしょうか?

当時ベヒシュタインの日本総代理店だった日本楽器(現ヤマハ(株))は、このコンサートの5年程前に世界のピアノを調査するため、4名の技師を世界各地へ送り出したそうです。
5~6カ国を回る中で、ドイツでベヒシュタインと出会い「他の追随を許さぬ、名実共に世界最善のピアノ」だと衝撃を受けて、当時の日本総代理店になりました。
そこからベヒシュタインの製造技術を学ぶことで、日本のピアノ製造技術がどんどん進み、今皆さんが使用しているピアノに至ります。

ということは、日本のピアノのルーツはベヒシュタインという事ですね!

当時このコンサートに関わった方々は、ベヒシュタインピアノを使用することで、日本に本物の西洋音楽を広めたかったのだと思います

そして今話題の人である、新1万円札の顔「渋沢栄一」ですが、実は帝国ホテルの初代会長を務められた方なんです。
そんな「渋沢栄一」「ベヒシュタイン」とは100年以上前から繋がりがあったようですね。

 

ベヒシュタイン製のピアノは、湿度の変化が大きいアジア輸出用に接着部分をびょうで補強した特注モデル(※写真はニッポンドットコムより)



また、今回東京・江東区へ再築された自邸には、ご子息や孫、ひ孫さん4代で使用した1922年製のベヒシュタインのピアノが完全修復されて置かれているようですよ。
今も100年前のピアノが弾けるのって凄くないですか?
「渋沢邸」はまだ一般公開になってないようですが、間もなく見られるようになるそうですので、ご興味のある方は是非行ってみてください。

そういった繋がりの中、昨年は帝国ホテル2代目本館-通称「ライト館」が開業して100周年記念と、ベヒシュタインにとっても創業170周年という特別な年でした。
この記念の年に日本一ゴージャスなジャズフェスティバル「IMPERIAL JAZZ 2023」が日比谷の帝国ホテルで開催され、2台のベヒシュタインピアノを使用して、100年の時を超えてライブが行われたことに、とても感銘を受けました。
私も音楽を通して歴史を感じられる瞬間に、一度は参加してみたいと思います。