第11回青い鳥コンペティション入賞者を発表します。
キッズヴォーカル部門
金賞:竹谷咲葵さん(年中)
銀賞:石澤永渚さん(年中)
銅賞:田辺詩乃さん(年長)
審査員特別賞:田辺優衣さん(年中)
<講評>
金賞:竹谷咲葵さん
お姉ちゃんの伴奏との息もピッタリ、物語の場面が浮かんでくるようでした。音楽の変わり目で素直に気持ちが動いてそこから声の色が変化するという「歌の本質」を聴かせてもらいました。
銀賞:石澤永渚さん
音域が広く大人でも難しいこの曲をよく声をコントロールして歌えていました。ピアノの伴奏の音をよく聴けて空間を操れたのは流石でした
銅賞:田辺詩乃さん
キッズながら胸に秘めた想いを切々と歌う感じがよく伝わってきました。これからが楽しみです!
<キッズヴォーカル部門 総評>
キッズの年齢では音程よくリズムにのって歌うだけでも難しいのですが、入賞された皆さんはその上に曲のイメージを掴んでそれを見事に表現されていて素晴らしいと思いました。またご家族が伴奏をされている組もあり素敵なアンサンブルを聴かせて頂きました。
一点、普段とは違いピアノとの距離が遠く客席も広いホールで、「ピアノの音と自分の声の両方を聴いて歌う」ができたらもっと楽しく歌えるだろうなあ、と感じました。
ヴォーカル部門
金賞:石川栞奈さん(小6)
銀賞:石川立華さん(小2)
島村瀬乃香さん(小3)
銅賞:吉田莉々香さん(小4)
審査員特別賞:伊藤百合子さん(小1)
伊藤秀一郎さん(小4)
グッドビート賞:澁谷碧偉さん(小2)
ベストポップス賞:河村百葉さん(小5)
ビューティフルヴォイス賞:濱田紗希さん(小1)
グッドアンサンブル賞:島村伊吹樹さん(小1)
<講評>
金賞:石川栞奈さん
歌唱力、歌詞の捉え方と伝え方どれをとっても素晴らしく圧巻の演奏でした。お姉さんの葉月さんによるピアノ伴奏も和声感が豊かで、だからこそそれが栞奈さんの心に響き演奏に深く影響を与えたとも感じられました。素晴らしいアンサンブルでした。
銀賞:石川立華さん
歌は基本的に歌詞と音楽の両方で成り立っています。ということは人の心に届く歌を歌うためには音程やリズムの良さだけでなく「歌詞の理解」が大切になってきます。立華さんは、友情を歌ったこの歌詞をしっかり理解して自分のフィルターを通して歌を届けてくれました。こちらもお姉さんが妹の歌のために一役買ってくれていましたね。
銀賞:島村瀬乃香さん
昨年に続き弾き歌いをしてくれた瀬乃香さん。弾き歌いの難しさは「一人で演奏しているのにあたかも二人で演奏しているように演奏すること」に尽きるでしょう。クリアでよく通る声を会場中に響かせつつピアノは歌を支えることができました。
銅賞:吉田莉々香さん
莉々香さんの歌からは強い「想い」を感じます。自分の大好きな歌に大切な「想い」を乗せて聴くものの心に届けてくださいました。
<ヴォーカル部門 総評>
今年も歌唱力と表現力が高い出場者が揃っていて、審査員泣かせのヴォーカル部門でした。言葉と音楽で聴くものの心を動かす演奏が多く「歌」というものを理解して取り組んでいることが伝わって参りました。
ただ欲を申しますと、課題曲がない「青い鳥コンペティション」では様々な個性を持つ歌が歌われているだけに「私の演奏は本当にその歌の本質を表現できているのだろうか?」を考えて再び来年に挑んでほしいとも感じました。
キッズピアノ部門
金賞:星野 楓さん(年長)
銀賞:福田麻衣さん(年長)
銅賞:岡本莉穂さん(年長)
審査員特別賞:竹谷咲葵さん(年中)
石原 凜さん(年長)
<講評>
金賞:星野 楓さん
拍の感覚にすぐれ、rit.やフレーズの間が素晴らしかったです。
銀賞:福田麻衣さん
キラキラの音色が素敵でした。音楽の流れが素晴らしく小さいながら音楽性を感じました。ペダルの踏み方もお上手でした。
銅賞:岡本莉穂さん
打鍵が安定していて音が綺麗でよくまとまっていました。フレーズの終わりの音まで丁寧に弾かれました。
<キッズピアノ部門 総評>
まだ、ピアノを習い初めて間もないであろう小さなピアニストの卵ちゃんの演奏を聴かせていただきました。とてもレベルが高く今回3賞に入らなくても気にすることはないくらいの僅差の結果でした。音が綺麗な生徒さんが多く、ペダルの響きをよく聴かれていたのが印象的でした。ご父兄の方は家での練習をフォローしていただきますます成長されるのを応援していただきたいと思います。
ピアノ連弾部門
金賞:島村瀬乃香さん(小3)・堀井夢夏さん(小4)
銀賞:山口琥珀さん(小6)・山口葉月さん(小4)
銅賞:佐久間菜緒さん(小5)・髙島雪歩さん(小5)
審査員特別賞:豊田康晴さん(小2)・豊田ほのかさん(中1)
<講評>
金賞:島村瀬乃香さん・堀井夢夏さん
難しいドビュッシーの世界観を表現されました。良いバランスで演奏されました。
銀賞:山口琥珀さん・山口葉月さん
2ndの伴奏に安定感、表現がありメロディをサポートされました。1stのフレーズ感がよく音楽的に演奏されました。
銅賞:佐久間菜緒さん・髙島雪歩さん
息がぴったりで一つの音楽に聴こえました。お二人のテンポ感、呼吸が良くあっていました。
<ピアノ連弾部門 総評>
連弾は2人で一つの音楽を作るという楽しみがあります。ソロよりもたくさんの音が鳴るので層が厚くなり、すてきになります。小さいうちに経験してほしいです。
4つの手の中でどの声部がメロディか伴奏かよく楽譜を見てください。外声だけ、内声だけを合わせたりして練習しましょう。
今後バッハなどをお勉強する時に役立ちます。今回、ご兄弟の組み合わせがありましたが年齢差がある時、小さい方が1stを弾くと2ndとの音量がバランスが悪くなることがあります。
2ndは音楽的なサポートは難しいですが選曲などで工夫してみてもよいかと思いました。
ピアノ部門
金賞:竹谷美波さん(小1)
若木聡良さん(小6)
伊藤那緒子さん(中2)
銀賞:宮本紗寧さん(小5)
寺田陽花さん(中1)
銅賞:堀井夢夏さん(小4)
審査員特別賞:池田優海さん(小1)
山川愛菜さん(小4)
ベヒシュタインサウンド賞:島村伊吹樹さん(小1)
ベストポップス賞:安藤経磨さん(小5)
グッドビート賞:當銘アムールさん(小3)
<講評>
金賞:竹谷美波さん
ドビュッシー作曲「子供の領分」の中でも独特な世界観を表現することが難しい一曲です。美波さんは小1ながら聴くことへの集中度が素晴らしくペダルによる響きの美しさに唸らされました。
金賞:若木聡良さん
ショパンの24曲のプレリュードの終曲で、エチュードかと思われるほど左手の難易度が高い曲です。それに加えて冒頭から最後の一音まで激情を途絶えることなく弾き続ける意志の強さが必要なのですが、それを若木君は見事に私たちに伝えてくれました。
金賞:伊藤那緒子さん
4曲あるショパンの即興曲の中でも際立って美しい第3番ですが、その分緻密な読み解きと豊かな心の移ろいを感じることができる音楽性なしには形にならない曲でもあります。那緒子さんはしっかりと曲に向き合いそこにあるべき「音色の層」を私たちに聴かせてくださいました。
銀賞:宮本紗寧さん
一言で言うと、とても完成度の高い演奏でした。誰もが聴いたことのあるドビュッシーの有名な曲ですが彼の求めた音をちゃんと形にするのが大変難しい曲です。そんなドビュッシーの要求にしっかり応えられた紗寧さんの演奏でした。
銀賞:寺田陽花さん
数あるショパンのピアノ曲の中でも美しい曲としても難曲としても、知られている大曲です。音楽の理解度もそれを聴くものに伝える力もとても高い陽花さんの演奏でした。
銅賞:堀井夢夏さん
シベリウスのロマンティックな一曲ですが、構造的にも楽節ごとのキャラクターの表情もしっかり把握しつつ聴くものを感動させるのはなかなかに難しい曲です。夢夏さんの年齢よりも大人な音楽性は我々に「抒情性」「切なさ」「儚さ」等様々な感情を想起させてくださいました。
<ピアノ部門 総評>
ピアノ演奏で聴くものの心に音楽を届ける、とはどういうことなのでしょう。
1.まずはその曲をしっかり見つめて曲のあるがままの姿をつかまえること。これはクラシックでもポピュラーでも違いはありません。クラシックであれば作曲家が思い描いた形(和声や拍子、構造等)を理解して自分なりの解釈で演奏するでしょうし、ポピュラー曲では原則ビートやグルーヴを感じるのは必須でありかつベースラインを大切にすることも蔑ろにはできません。
2.前述の1をピアノの音で表し、聴くものの心に届ける。これが何より大切です。丁寧に届けようとしてくれてる人もいましたが、不充分な演奏も散見されました。普段のレッスンから丁寧にやってみて今から来年のコンペティションに備えてもらえると嬉しいです。
今年は異例中の異例で金賞が3名という結果で、それぞれの演奏者がその曲の個性とご自分の音楽性を表現された甲乙つけがたい演奏でした。